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Ordinary People

普通であることの勇気を持とう

映画「最愛の子」は単なる感動作じゃない。重要な問題提議をしている映画です。

映画「最愛の子」見ると心が痛くなります。

最愛の子 [DVD]

【映画情報】

タイトル:「最愛の子」

監督/製作:ピーター・チャン

出演:ヴィッキー・チャオ/ホアン・ボー/トン・ダーウェイ/ハオ・レイ/チャン・イー

上映時間:130分

公開時期:2016年1月

DVDリリース時期:2016年8月2日(予定)

 

中国の児童誘拐の闇を描いている映画

今、中国では児童誘拐が問題となっています。1979年から始まった「一人っ子政策」によって文字通り子供を一人しか持つ事が出来ないのです。必然的に子供に対する価値が上がります。そして、子供の人身売買のマーケットが出来てしまったのです。

つまり「子供は金になる」という事実が根底にあり、お金欲しさに誘拐されてしまうのです。子を誘拐されてしまった親は必死に探しつづけます。そんな親にたかろうと偽の情報を売りつけようとする者さえいます。なんとも酷い話であるが、その辺の描写はとてもリアルに感じました。見事な演出だと思います。

日本人の私の感覚では子供が誘拐された場合は身代金を目的にした犯罪だと思ってしまいますが、そうではないのです。

この映画は実際にあった事件を元に作られています。苦悩する親の姿を見ていると、こちらも苦しくなってしまいました。 

 

すばらしい芝居をするキャスト達

出演しているキャストは皆、すばらしいです。

特にヴィッキー・チャオとホアン・ボーの演技が抜きに出ていたと思います。予告にも出ているので言ってしまいますがヴィッキーは「誘拐した子供を育てている偽の母親」という役柄です。自分の夫が他の女と作った子供だと言われて引き取って育てていたのです。しかしその事実を知らずに彼女は子供に愛情を注いでいて・・・・・というお話。

彼女は農村の女性を演じており、ノーメイクで出演しています。映画を見る限り女優の要素は全くなく本当に農家の女性になりきっています。

そしてホアン・ボーですが、彼は「息子を誘拐されてしまった親」を演じています。

親の苦悩を見事に表現しています。ホアン・ボーは中国では絶大な人気俳優です。
しかし、映画の中でみる限り、どこにでも居そうなおっちゃんです。それ故に誘拐された本当の親を見ているかのように彼の喜怒哀楽が直に伝わってきます。日本にはなかなか居ないタイプの俳優だと思いました。

 さらに個人的に好きだったのは、チャン・イーという俳優。彼は子供を誘拐された親達が集まって情報収集などを行うグループのリーダーという役柄。彼もまた息子を誘拐され、探し続けているという状態です。このチャン・イーも見事に脇を固めていて、物語を盛り上げてくれます。

 

ここで「ヴィッキー・チャオ」と「ホアン・ボー」について簡単に紹介します。

ヴィッキー・チャオ

1976年生まれ。中国の安き省出身(*「き」という文字が難しく変換できない)
主な出演作は「少林サッカー」「レッドクリフ」「ムーラン」などがあります。
安き省は、劇中で農村が出てくるところですが、現実のヴィッキー本人はシンガポールの実業家と結婚しており、とんでもない金持ちになっているらしいです。 

 

ホアン・ボー

1974年生まれ。中国の山東省出身。
30歳を過ぎてから売れたという遅咲きの役者。主演作の「ロスト・イン・タイランド」は2億ドル以上の売り上げで中国史上No.1のヒット映画です。
他にはチャウ・シンチー監督の「西遊記はじまりのはじまり」で孫悟空役を演じ、また中国版の「101回目のプロポース」では武田鉄矢が演じていた役をやっています。
今、中国で最も客を集められる俳優らしいです。

 

それぞれの愛を描いた群像劇

物語は、単純な感動作で終わっていないです。あまり詳しく話すとネタバレになってしまうので、ふわっとしか話せませんが途中から群像劇的な話になってきます。もちろん主軸の話は残したままではありますが、脇役と思っていた人にもスポットライトが当り、各登場人物の裏側まで描かれてくるようになります。登場人物達に共通しているのが、皆それぞれに子供に愛を持っているという事。しかし、皆が幸福で満たされる状況というのは、なかなか成立しないです。皆が自分の愛を求めてしまうからこそ、相手の事まで頭が回らないのだろうなぁ、という印象でした。

劇中のなんでもないシーンの台詞で「少しは相手の状況を考えてみろ!この国にはその考えが足りなさすぎる」というものがあります。(*ちょっと正確には覚えていないですが、確かそんな内容だったと思います) この台詞がとても印象に残っている。

見終わって色々と考えさせられる映画でした。

 

ちなみにラストシーンの演出に関しては、あまり納得がいかない所があります。実際、実話とは違っているので問題になったらしいです。ラストは納得いなかいものの、描かれている物語はすばらしと思ったので、良しとします。 

 

 

 

では、またどこかで。